【座ってられないは成長の証!】子どもの落ち着きのなさ・集中力のなさを乗り越える家庭でできる5つの対処法

子どもの発達支援①
今回は「【座ってられないは成長の証!】子どもの落ち着きのなさ・集中力のなさを乗り越える家庭でできる5つの対処法」についてご紹介していきます。
私は、東京都江戸川区の葛西エリアで、20年以上中葛西幼保園を運営しています。
中葛西幼保園の「子育て悩み相談室」では、毎日沢山のお問い合わせをいただいています。
その中でも、子どもの「発達」に関するご相談は、過去から非常に多い傾向にあります。
我が子の「落ち着きのなさ」に悩む全てのお父さん・お母さんへ
- 「うちの子、どうしてこんなに落ち着きがないんだろう…」
- 「食事中も座ってくれないし、遊びもすぐに飽きてしまう」
- 「もしかして、どこか問題があるのでは?」
子どもの「座っていられない」「集中力がない」といった行動は、多くの親御さんが抱える共通の悩みです。
特に公共の場や食事中に騒いでしまうと、ついイライラして自己嫌悪に陥ってしまうかもしれません。
しかし、安心してください。
乳幼児期の子どもの「落ち着きの無さ」のほとんどは、発達の自然なプロセスであり、悪いことでも、ましてや病気でもありません。
むしろ、「脳と体が活発に成長している証拠」なのです。
この記事では、「落ち着きがない子ども」の行動の裏にある科学的な理由を解き明かし、ご家庭で今日から実践できる【5つの具体的な対処法と接し方】を、徹底解説します。
お子さんの「集中できない時間」を「集中力を育む時間」に変えるヒントを見つけていきましょう。
乳幼児の「落ち着きのなさ」の正体を知る|3つの根本原因

子どもの発達支援②
子どもの行動を変える第一歩は、その行動がどこから来ているのか、原因を理解することです。
乳幼児期の「座っていられない」行動は、主に以下の3つの欲求から生まれています。
脳と体を連動させたい「感覚運動の欲求」
乳幼児にとって「動くこと=学ぶこと」です。
手足を動かし、身体のバランスを取り、周囲の物に触れることで、脳と神経回路が急激に発達しています。
- 具体的な行動: 走り回る、ジャンプする、登る、物を叩く、常に手足を動かしている。
- 親が理解すべきこと: この時期の多動的な行動は、「エネルギーの塊」であり、体を動かしたいという本能的な欲求を満たそうとしている状態です。このエネルギーを十分に発散させることが、結果的に「静かに座る」土台を作ります。
年齢に応じた「集中力の限界」
大人が期待する「集中力」と、乳幼児が持てる集中力には大きなギャップがあります。
集中力の持続時間には、一般的に「年齢+1~2分」という目安があります。
| 年齢 | 集中力の目安(分) |
| 1歳 | 2〜3分 |
| 3歳 | 4〜5分 |
| 5歳 | 6〜7分 |
- 具体的な行動: 遊びをすぐに切り替える、作業を最後までやらない、絵本を最後まで聞けない。
- 親が理解すべきこと: 5歳の子に15分集中することを求めるのは、そもそも無理があります。集中力が途切れるのは、飽きたのではなく、脳が休息を求めているサインです。
刺激過多による「処理能力のパンク」
現代の家庭は、テレビ、YouTube、親のスマホ通知、カラフルすぎるおもちゃなど、情報や刺激で溢れています。
- 具体的な行動: キョロキョロする、次の行動にすぐに移ってしまう、目的なくウロウロする。
- 親が理解すべきこと: 刺激が多すぎると、脳はどこに集中していいか判断できなくなり、「全てを処理しようとする」結果、集中力が散漫になります。これは、環境の整理によって大きく改善できる問題です。
落ち着きと集中力を育む「家庭でできる5つの対処法」

子どもの発達支援③
子どもの発達のメカニズムを理解した上で、具体的な環境設定と接し方を変えることで、子どもが「自ら集中できる力」を育てていきましょう。
対処法1:モンテッソーリに学ぶ「集中できる環境」を整える
集中力は、環境から受ける刺激をシンプルにすることで劇的に向上します。
- ❌ NGな環境: おもちゃ箱がひっくり返っていて、全てのおもちゃが見えている状態。
- ⭕ OKな環境:
- おもちゃを厳選する: 一度に遊べるおもちゃを数種類に限定し、棚の上に整頓して並べる(選択の自由を与える)。
- 「子どもの居場所」を作る: 勉強や遊びをする場所を明確に区切り、親やテレビの視線が届きにくい**「子どものための落ち着いたスペース」**を確保する。
- デジタル刺激を排除: 食事中や集中して遊ぶ時間帯は、親も含めテレビやスマートフォンを完全にオフにする。
対処法2:「動き」を我慢させない発散の時間を作る
「座る」ことを教える前に、まず「動く欲求」を満たしてあげましょう。
運動欲求が満たされると、その反動で静的な活動にも集中しやすくなります。
- 全身運動の時間: 毎日最低30分~1時間、思い切り走る、登る、ジャンプする外遊びの時間を確保します。公園だけでなく、雨の日も、室内で体を使った遊び(新聞紙破り、風船バレーなど)を取り入れましょう。
- 「動く許可」を与える: 食事や座学の合間に、「5分だけジャンプしていいよ」と意識的に動き回る時間を与えます。その後に「次は座ろうね」と切り替えることで、座る時間を我慢の時間にしないようにします。
対処法3:「繰り返し」を尊重し集中力を育む遊びを取り入れる
乳幼児は、何度も同じ遊びを繰り返すことで、動作を洗練させ、「できた!」という達成感から驚異的な集中力を発揮します。
- 遊びの質の重視:
- 型はめ、ビーズ通し: 手先を使う遊びは、脳と指先を連動させ、自然と集中力を高めます。
- 水の移し替え(おしごと): スポイトや小さなコップを使い、水や豆を移し替える作業は、**「間違えられない」**という緊張感が集中力を養います。
- シール貼り、塗り絵: 完成形が見える作業は、子どものモチベーション維持に繋がります。
- 親の関わり方: 子どもが遊びに集中している時は、絶対に口出しをせず、じっと見守りましょう(見ていることをアピールせず、親も他のことに集中するのがベスト)。途中でやめさせたり、手伝ったりすることは、集中の流れを断ち切ってしまいます。
対処法4:否定語をやめ「肯定的な言葉がけ」で導く
「ダメ!」「座りなさい!」「うるさい!」といった否定語は、子どもの意欲を削ぎ、反抗心を引き出すだけです。
- ❌ NGな声かけ: 「走らない!」→ ⭕ OKな声かけ: 「ここでは歩こうね。」
- ❌ NGな声かけ: 「絵本を途中で閉じちゃダメ」→ ⭕ OKな声かけ: 「このページまで読んでみようか。」
最も重要なのは、「できた瞬間」を具体的に褒めることです。
- 褒め方: 「ちゃんと座れたね」ではなく、「今、〇〇(おもちゃの名前)を片付けるまで、お椅子に座っていられたね。すごい!」と、行動とその結果を具体的に褒めることで、子どもは「この行動をすると褒められる」と学習します。
対処法5:生活を「見える化」して安心感を与える
子どもの落ち着きの無さは「次に何が起こるか分からない」という不安から来ている場合もあります。
- 視覚的スケジュール: 食事、歯磨き、遊び、お風呂など、一日の予定を絵や写真を使った**「スケジュールボード」**で示します。
- メリット: 子どもは次に何をするべきかを自分で把握できるため、親からの指示が減り、自分で行動をコントロールする力(自己統制力)が育ち、落ち着きが増します。
専門機関に相談を検討すべきサインとタイミング
ほとんどの「落ち着きのなさ」は発達過程で改善されますが、ごく一部には専門的な支援が必要な場合もあります。
安易に「多動性障害(ADHD)」と決めつけるのは厳禁ですが、以下のサインが「乳幼児期を通じて非常に強く見られる」場合は、専門家に相談を検討しましょう。
相談を検討すべき4つのサイン
- 危険の制御ができない: 他の子どもを叩く、飛び出す、危険な遊びを止めることができず、常に怪我や事故が絶えない。
- 睡眠障害: 極端に寝つきが悪く、夜中に何度も起きるなど、生活リズムの乱れが非常に大きい。
- 特定の活動に対する過度なこだわりと困難: 遊びや活動の切り替えが極端に困難で、癇癪が激しい。
- 親の指示が全く通らない: 遊びの場面だけでなく、生活のあらゆる場面で親の指示や危険の警告がほとんど機能しない。
相談先の選択肢
自己判断せずに、まずは専門の機関に相談し、専門家の視点からアドバイスをもらいましょう。
- 身近な相談先: 地域の保健センターや子育て支援センター
- 専門的な相談先: かかりつけの小児科、または地域の発達相談窓口・療育センター
落ち着きのない時間は「成長のための準備期間」

子どもの発達支援④
子どもの「落ち着きがない」「座っていられない」という行動は、決して「悪いこと」ではありません。
それは、子どもが世界を探求し、脳を急速に成長させている「成長のための準備期間」なのです。
親がすべきことは、子どもを無理やり座らせて叱ることではなく、「このエネルギーをどこで、どう使わせてあげようか?」と前向きに考えることです。
今日から、「環境を整える」こと、そして「動く欲求を肯定的に満たしてあげる」ことから始めてみましょう。
お子さんが持つ無限のエネルギーを、未来の集中力と自立心に変えることができるのは、他でもない、あなた自身です。
この知識が、あなたの育児の不安を少しでも和らげ、親子が笑顔で過ごせる時間が増えることを願っています。