今回のテーマは、「【考察】今の子育て・昔の子育て｜何がどう違うか考えてみた！」についてご紹介します。
私は、東京都江戸川区の葛西エリアで「中葛西幼保園」を20年以上運営しております。
中葛西幼保園内の子育て悩み相談室でよくあるご相談の1つとして、「今と昔の子育て感の違い」についてのご質問を多く頂きます。
子育て悩み相談室
色々なご意見があるかと思いますが、今も昔も子どもにとって一番最善な教育や保育を選んでいくというのがポイントとなってくるようです。
「今の子育て、昔の子育て」から考える、本当の豊かさとは？
昔の子育て風景①
- 「お母さん、もうちょっとおおらかに育てなさい」
- 「昔はこんなに神経質じゃなかったわ」
子育て中の皆さんは、そんな言葉を耳にしたことはありませんか？
祖父母や年配の方からかけられる、懐かしい響きを持つその言葉には、かつての子育ての記憶が込められています。
確かに、昭和の時代を経験した親から見れば、現代の子育ては全く違うものに見えるでしょう。
核家族化が進み、共働きが当たり前になった今、かつてのように「子育ては家族や地域みんなで」というスタイルを実践するのは難しいのが現実です。
仕事から帰れば、食事の準備に、お風呂、寝かしつけ…。
夫婦二人、あるいは一人で、毎日時間と戦いながら、孤軍奮闘していると感じる方も少なくありません。
一方で、昔にはなかった悩みも増えました。
スマートフォンを開けば、完璧な子育てを実践しているかのようなSNSの投稿が目に飛び込んできます。
- 「うちの子はまだ歩かないのに、〇〇ちゃんはもう走り回っている…」
- 「離乳食を食べてくれないのは、私の作り方が悪いのかな…」
膨大な情報が、知らず知らずのうちに私たちを不安にさせ、他の子と比べてしまう「育児の呪縛」にかられてしまうこともあります。
では、昔の子育てが正しくて、今の子育てが間違っているのでしょうか？ あるいは、その逆でしょうか？
そうではありません。
今も昔も、子育てにはそれぞれの時代ならではの「大変さ」と「豊かさ」があります。
昔は、近所のつながりが強く、温かいコミュニティの中で支え合っていました。
しかし、その一方で、「みんなと一緒」であることが求められ、個性を尊重するという考え方は、今ほど一般的ではありませんでした。
現代は、一人ひとりの子どもの個性を大切にする多様な子育てが認められています。
そして、昔にはなかった新しいテクノロジーや社会的なサービスが、子育てを支えてくれます。
しかし、その反面、自分で全てを背負い込み、孤立感を深めてしまうという、新たな課題に直面しています。
私たちは、どちらか一方を否定するのではなく、それぞれの時代の子育てを深く理解することで、私たち自身の「今」の子育てをより豊かにするヒントを見つけられるはずです。
このブログでは、今と昔の子育てを、具体例を交えながら比較し、子育ての本質にある「大切なこと」を改めて見つめ直していきます。
どうぞ、肩の力を抜いて、リラックスしてお読みください。
「昔はこうだった…」だけじゃない｜今と昔の子育てから見えてくる大切なこと
今の子育て
- 「今の子育ては大変だ」
- 「昔はもっとおおらかだったのに」
子育てをしていると、そんな言葉を耳にしたり、自分自身がそう感じたりすることがあるかもしれません。
スマートフォンが当たり前になり、核家族化が進んだ現代。
ご近所さんや親戚が、常に子どもの成長を見守ってくれた昔。
時代が変われば、子育ての形も変わるのは当然のことです。
今回は、「今」と「昔」の子育てを比較しながら、それぞれの違いから見えてくる、本当に大切なことを一緒に考えていきましょう。
今の子育て｜情報過多と孤立の中で見つける「最適解」
今の子育てと昔の子育て
情報の洪水と向き合うということ
今の子育ては、情報に溢れています。
スマートフォンの検索窓に「夜泣き 対策」と入力すれば、何百ものブログや専門家の見解が瞬時に表示されます。
育児書も種類が豊富で、SNSには同じ月齢の子どもを持つパパ・ママの投稿がずらりと並びます。
昔の具体例
昭和30年代、育児の情報源は限られていました。
例えば、お母さんが子どもの夜泣きに悩むと、まず頼るのは近所に住むおばあちゃんや、同じ年頃の子を持つ隣の奥さんでした。
「うちの子も、赤ちゃんの時は泣いてばかりだったよ。背中をトントンしてあげたら眠ったわ」といった経験談が、何よりの安心材料でした。
「疳の虫」には、ある特定の漢方薬が良いと教えられ、みんなが同じように試してみたりもしました。
科学的根拠は薄くても、その共同体の知恵は、子育ての大きな拠り所でした。
今の具体例
2020年代の今、状況は一変しました。
子どもの夜泣きに困った時、まずスマホで検索します。
- 「夜泣き専門の保育士によるアドバイス」
- 「海外で主流のネントレ（ねんねトレーニング）」
- 「赤ちゃんの泣き止む音楽」
など、膨大な情報が手に入ります。
SNSでは、「うちの子はネントレで3日で朝までぐっすり！」という成功談を見て、自分も試してみる。
でもうまくいかなかった時、「私のやり方が間違っているのかも…」と落ち込んでしまう。
一方、アレルギー専門の医師のブログで、卵アレルギーの子どもに安全なレシピを見つけたり、療育の専門家が発信する動画で、発達の特性に合わせた遊び方を知ったりもできます。
情報の多さは、時に親を悩ませますが、同時に、昔では考えられなかった専門的な知識を、誰もが手軽に手に入れられる大きなメリットでもあります。
情報の洪水に溺れるのではなく、「私の場合はどうだろう？」と、自分にとっての「最適解」を見つけるためのツールとして活用することが大切です。
子育ての「孤軍奮闘」と向き合う
核家族化への課題
核家族化が進んだ現代では、子育ては夫婦二人で、あるいは一人で行うことが一般的です。
昔の具体例
昭和50年代の団地での生活を想像してみてください。
各家庭の玄関は開け放たれ、子どもたちは自由に行き来していました。
お母さんが買い物に出かける時、「ちょっと〇〇ちゃんの家で待っててね」と預けるのも日常茶飯事。
子どもが熱を出した時も、隣のおばさんがすぐに看病を手伝ってくれたり、お見舞いに来てくれたりしました。
親戚の集まりでは、おじさん、おばさん、いとこたちが総出で子どもの面倒を見てくれ、親はゆっくりと食事を楽しむことができました。
今の具体例
多くの家庭では、隣に住む人の顔も知らない、という状況です。
共働きで朝早くに家を出て、夜遅く帰宅する夫婦の場合、家事も育児も時間との戦いです。
- 「夕食の準備をしたいけど、子どもがぐずって離れてくれない…」
- 「土日も、習い事や家事で休む暇がない…」
そんな時、昔のように「ちょっとお願い」と頼める相手が身近にいないため、心身ともに追い詰められてしまう親も少なくありません。
しかし、現代の子育てには、昔にはなかった多様なサポートの形があります。
- 子育て支援センターでは、気軽に子育て相談ができ、同じ悩みを抱える親同士で話すことができます。
- 一時預かりサービスを使えば、「ちょっと一人でゆっくりしたい」という時間を確保できます。
- オンラインコミュニティでは、住んでいる場所に関係なく、同じ月齢の子を持つ親と悩みや情報を共有し、励まし合うことができます。
これらは、自らアクションを起こす必要がありますが、昔の「当たり前」のコミュニティに代わる、新しいセーフティネットとなり得ます。
昔の子育て｜ゆるやかな共同体と「あたりまえ」の育児
昔の子育て環境と考え方
「みんな一緒」という安心感
昔の子育てには、「みんな一緒」という共通の価値観がありました。
昔の具体例
例えば、小学校の入学式。 子どもが着る服も、髪型も、ランドセルも、ほとんどが同じでした。
「うちの子だけが違う」という心配はほとんどありませんでした。
運動会や地域のお祭りは、子どもたちの成長をみんなで祝い、親も子どもも「当たり前」の行事として楽しんでいました。
子育ての方法についても、「このくらいの月齢なら、もうおむつが取れているはず」といった暗黙の了解があり、それに従って子育てを進めることで、安心感を得ていました。
今の具体例
現代では、子どもの発達も個性も多様なものとして捉えられています。
同じ3歳の子どもでも、おむつが取れている子もいれば、まだ取れていない子もいます。
習い事も多種多様で、早期教育に力を入れる家庭もあれば、自然遊びを重視する家庭もあります。
この多様性は、一人ひとりの子どもの個性を尊重できる素晴らしい点です。
しかし、その一方で、「うちの子はまだ話さないけど、SNSで見る〇〇ちゃんはもうペラペラ話している…」と、他と比べてしまい、不安になってしまうことがあります。
昔の子育ての「みんな一緒」という安心感は、子育ての負担を軽減する大きなメリットでした。
しかし、その一方で、「こうあるべき」という固定観念に縛られてしまうという側面も持ち合わせていました。
厳しさの中にあった愛情
昔の子育てには、現代では少し厳しく感じられるようなしつけや教育も多くありました。
昔の具体例
- 「親の言うことは絶対」
- 「泣いたらダメ」
といった厳格なルールが、家庭や地域全体で共有されていました。
例えば、ご飯を残したら「残すのはもったいない！」と怒られ、おやつも「遊び食いはしない！」と厳しくしつけられました。
兄弟ゲンカをすれば、「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」と言われ、我慢することが「美徳」とされていました。
今の具体例
現代の子育てでは、
- 「子どもの個性を尊重する」
- 「自主性を伸ばす」
といった教育が主流になり、頭ごなしに叱ることは減りました。
「どうして残したの？」「食べたくない気分だったんだね」と子どもの気持ちに寄り添うことが大切だとされています。
兄弟ゲンカも「それぞれの気持ちを聞いてみよう」と、対話を通じて解決を促すことが推奨されています。
昔の厳しさには、子どもを社会で生きていくための力をつけさせたい、という親の強い愛情が込められていました。
現代の「個性を尊重する」保育は素晴らしいものですが、時には「どこまでが許されるのか」という基準が曖昧になり、子どもが混乱してしまうこともあります。
どちらが良い、悪いではなく、それぞれの時代背景を理解し、その中でどうバランスを取っていくかが大切です。
今と昔の子育てから学ぶ｜3つの大切なこと
昔の子育ての風景
完璧な子育ては存在しないと知る
昔も今も、子育てに「完璧な正解」はありません。
昔の子育てには昔なりの悩みがあり、今の子育てには今の時代の悩みがあります。
SNSで見る「完璧な親」や、昔話で聞く「苦労知らずな子育て」は、ほんの一面でしかありません。
大切なのは、目の前のお子さんをありのままに受け入れ、ご自身のペースで、一つひとつ向き合っていくことです。
「頼ること」は、愛の表現だと知る
昔の子育ては「頼る」ことが自然なことでした。
現代の子育てでは、「頼る」ことは「迷惑をかける」ことだと感じてしまう人が少なくありません。
しかし、「頼る」ことは、決して弱いことではありません。
- 「手伝ってくれると嬉しいな」
- 「ちょっと話を聞いてくれる？」
と素直に伝えることは、周りの人を信頼し、関係を築く力です。
そして、その姿をお子さんに見せることで、「困った時は誰かに頼っていいんだ」という安心感を育てます。
時代の変化を恐れず、今を生きる
「昔はよかった」と懐かしむ気持ちは素敵なことです。
でも、過去は過去であり、今を生きる私たちは、今の時代に合わせた子育てをしていくしかありません。
大切なのは、「昔はこうだったから」と過去の価値観に縛られるのではなく、今ある子育ての選択肢を最大限に活かすこと。
保育園や子育て支援センター、地域の子育てサークルなど、現代だからこそ手に入るサポートを積極的に利用し、新しい時代の「子育て共同体」を築いていくことです。
今の子育ては、昔とは違う大変さがあるかもしれません。
でも、同時に、昔にはなかった多様な選択肢と、ご自身で子育ての形を選び取れる自由があります。
周りの声に惑わされず、ご自身の価値観を信じ、お子さんと一緒に、あなたらしい子育てを楽しんでください。
まとめ｜今の子育ては、新しい時代の「愛の形」
中葛西幼保園の保育風景
ここまで、今と昔の子育てを比較しながら、その違いについて考えてきました。
昔は、地域や家族の共同体という大きな安心感の中で、子育てが行われていました。
近所のおばあちゃんや親戚が、自然と子育てに参加し、親が一人で悩むことは、ほとんどありませんでした。
「みんな一緒」という価値観は、時に窮屈に感じられることもあったかもしれませんが、多くの人にとって、それは温かく、かけがえのない支えでした。
しかし、現代の子育ては、大きく様変わりしました。
核家族化が進み、子育てのコミュニティは物理的に離れてしまいました。
一見、今の時代の子育ては「孤立」や「情報過多」といった問題に直面しているように見えます。
しかし、私たちはこの違いを、単なる「良し悪し」で判断するべきではありません。
昔も今も、子育ての本質は変わりません。
それは、「子どもを心から愛し、その成長を喜び、しっかり見守ること」です。
周りの声や、SNSのキラキラした情報に惑わされる必要はありません。
ご自身の価値観を信じ、時に誰かを頼り、新しい時代の子育てを、お子さんと一緒に楽しんでいきましょう。
そうすれば、今の子育ては、昔とは違う、あなただけの、そしてお子さんだけの、かけがえのない「愛の物語」になるはずです。